本書の題名
大研究!日本の歴史 全5巻
第1巻 弥生時代~鎌倉時代
第2巻 鎌倉時代~江戸時代
第3巻 江戸時代
第4巻 明治時代~大正時代
第5巻 明治・大正~昭和
出版社
岩崎書店
価格
揃定価(揃本体 16,500円+税)
本書の題名
大研究!日本の歴史 全5巻
第1巻 弥生時代~鎌倉時代
第2巻 鎌倉時代~江戸時代
第3巻 江戸時代
第4巻 明治時代~大正時代
第5巻 明治・大正~昭和
出版社
岩崎書店
価格
揃定価(揃本体 16,500円+税)
政府は、東京オリンピック・パラリンピックを口実に、「テロ等準備罪」(以下「共謀罪」)を今国会で創設しようとしています。「共謀罪」は、「行為」があって初めて犯罪が成立するという近代刑法の大原則を踏みにじって、「犯罪を行うことを相談、計画した」だけで処罰するところに本質があります。思想及び良心の自由を保障した日本国憲法19条に反する違憲立法です。「共謀罪」は、処罰の必要より国民の自由を侵す危険が高いとして、過去3回国会で廃案になってきました。
「共謀罪」は、「4年以上の懲役・禁固にあたる犯罪」をおこなうことを目的とした組織が、団体の活動としてそれらの共謀した者を処罰するものです。政府は「従来の共謀罪とは違う」とし、暴力団や詐欺集団のような「組織的犯罪」の犯行を処罰するもので一般市民は対象外だとしています。しかし、どういう組織かは警察の判断にゆだねられるのです。「4年以上の懲役・禁固にあたる犯罪」は、現行法で600以上あります。また、金田勝年法相が、「共謀罪」国会審議に関し、「国会提出後、議論を重ねていくべきだ」とする文書を作成・配布したことは、憲法の大原則・三権分立を否定する行為です。
政府は「共謀罪」導入を、「テロを防ぐ『国連越境組織犯罪防止条約』を締結するため」としていますが、この条約は、同時多発テロ以前の2000年に採択されたものであり、マフィアや暴力団による経済犯罪への対処が目的であり、テロ対策ではありません。日本はすでにテロ防止のため13本の国際条約を締結し、それに基づく国内法を整備しています。「テロ対策」の名で、国民の思想や内心までも取り締まる「共謀罪」は、物言えぬ監視社会をつくり、安倍政権が進める「戦争する国」づくりのための現代版「治安維持法」と呼ぶべきもので、国民を欺くものです。
1925年制定された治安維持法は、当初示された目的が拡大解釈され、共産主義者、社会主義者のみでなく、自由主義者をも弾圧されました。教育分野においても、教育労働者の解放をめざした新興教育運動関係者を捕らえた長野県「二・四事件」(1933年)や、子どもの生活に密着し、ものの見方・考え方・生き方を育てることを目的とした東北や北海道などでの生活綴方・生活図画教育運動への弾圧事件(1940~41年)をはじめ、全国各地で、治安維持法違反容疑で多くの教職員が検挙されました。このような中、長野県では、子どもたちを満蒙開拓青少年義勇軍に積極的に送り出す戦争協力体制を推進する教育が行われたのでした。
私たち歴史教育者協議会(歴教協)は、戦前・戦中の反省に立ち、憲法を土台に、平和・民主主義・人権の教育と歴史の真実に基づく歴史教育・社会科教育を追究してきました。そして安倍政権が進める「戦争する国」の国民の育成に反対し、学問・教育の自由の大切さを主張してきました。「共謀罪」が、治安維持法のように学問の自由な活動を脅かすのみならず、労働組合や市民団体の活動を弾圧するための道具として使われるのではないかと危惧します。
私たちは歴教協設立趣意書にあるように、「歴史教育は、げんみつに歴史学に立脚し、正しい教育理論にのみ依拠すべき」という立場から、教育が再び権力の介入により歪められてはならないと考え、「共謀罪」創設に反対します。
2017年2月20日 一般社団法人 歴史教育者協議会常任委員会
以下の報告は、大会の一旦を記述しただけなので、詳しくは、大会増刊号を参照してください。
●歴史教育者協議会第68回沖縄大会は、2016年8月5日から7日まで、名護市民会館と琉球大学キャンパスで行われました。
大会直前の7月22日には、東村高江のヘリパット建設現場に、本土からの機動隊も投入されての工事強行に見られるような「沖縄から安保と民主主義を問う」という大会テーマに関わる重大な状況のなかでの大会となりました。
● 全体会に、550名の参加。地域特別報告・シンポジュウムから多くのことを学ぶ。
全体会は、名護市民館で行われました。
まず、『「沖縄」を日本全体の課題とするために』と題した、丸浜昭歴史教育者協議会副委員長からの「基調提案」があり、高江からの緊急現地報告の後に、地域特別報告として、名護市長の稲峰進さんから「辺野古の海にも陸にも新たな基地は造らせない」と題して、沖縄情勢についてのお話がありました。
全体会の司会をされた現地実行委員の上野さん自身も司会終了とともに高江に向かうとの発言に、緊張が走った一瞬でした。
その後のシンポジュウムは「日米安保体制に抗う沖縄民衆のたたかいに学ぶ」と題して行われました。まず、元衆議院議員の古堅実吉さんからは、復帰前の人権抑圧と分断に対する民衆の闘いの実態や人民党議員として取り組んだ軌跡についてはなされ、さらに、沖縄大学名誉教授の新崎盛輝さんからは「構造的沖縄差別」との闘いを中心に報告がありました。
その上で沖縄県歴史教育者協議会のお二人の方の実践報告、下地治人さんからは「石嶺・沖縄から日本の政治を考える」との小学校6年生の実践、北上田源さんからは「在沖縄海兵隊の実態から軍隊の本質を考える」という大学での実践の報告がありました。
その後の討論も大変充実していて、時間が少ないのが残念でした。
● いくつかの分科会の感想から
8月6日、7日の2日間を掛けて、琉球大学キャンパスの教育学部・法文学部棟で行われました。
第1分科会から第24分科会(第8分科会は行われず)の23の分科会と2つの特別分科会が行われ、活発な討論が展開されました。以下、いくつかの分科会参加者の感想を記述します。
・第11・12分科会(小学校3・4年生)
4年生の子どもたちが沖縄の学童疎開を、このように深く自分に引き寄せて考えていることに感動しました。今まで見えなかったものが見えるようになったという儀間先生のまとめにあるように、学んだ子どもたちに拍手です。
また、琉球かすりという学習は、平和を象徴するもので、未来を織り成す子どもたちの希望が見えます。
・第14分科会(小学校6年生)
教科書に書かれている歴史と自分が住んでいる地域の歴史は、同じなのか、違うのか、もし違うならそれはどうしてなのか、(報告者の)先生の「沖縄の自由民権運動」の実践から当時の沖縄の人々が置かれた状況がとてもリアルに感じられた。自由民権運動を地方史から捉え直すと差別の構図や人々の心が見えてくると思った。
・第21分科会(障がい児教育)
今回の分科会で障がい児に対する教育の実践例を取り上げていて、障がい児に対する教育は普通学級でも生かせる内容もたくさんあり、学生としてこれからも実習や現場に出たときの参考になりました。
・第23分科会(社会科の学力と教育課題)
授業実践を通して(具体的な事例)、授業の内容と方法について考えさせられた。
子どもの思考に寄り添いながら、議論を展開できる教師を目指したい。
今回のように、様々な実践に出会い、多くの人の意見や見方を知ることから、まず始めたい。
●地域に学ぶ集い
沖縄大会の大会テーマ「沖縄から安保と民主主義を問う」にふさわしい内容の10の講座と2つの本部企画を合わせて12の集いが開かれ、約390名の方が参加で、どの講座も充実した内容でした。講座の感想をいくつか記述します。
・「高江ヘリパット建設阻止のたたかい」
9年間のたたかいの一端に触れさせていただき、民意が反映されないもどかしさを痛感しました。8月5日の朝、N1裏テントの様子を見させていただき、機動隊が並んでいる光景の異様さに驚きました。
日々の当たり前の暮らしが強引に壊されている怖ろしさを痛感しました。私自身の無知にも憤りを感じ、伝える大切さを感じました。
・「沖縄から見る日米の軍事一体化の実態」
今まで米軍基地と自衛隊基地を区別して考えていました。しかし、今回のお話を聞いて、米軍と自衛隊が密接に結びついていることに気がつきました。安保法が通り集団的自衛権が行使されるようになると、自衛隊の武器だけでなく隊員もアメリカと共同してますます戦争に関わることになることが問題だと感じました。全てのアメリカの戦争に日本も関係していってしまうように思います。
・「若者たちと考える沖縄の平和運動」
同年代の皆さんの口から語られる言葉に好感が持てました。信念や行動する勇気だけでなく、迷いや葛藤についても語ってもらえたことに共感できました。
社会の問題を常に自分のこととしてとらえることは無理です。しかし、教師として、平和がおびやかされること、人権がおびやかされることについては問題意識を持てる子、問題提起する力がある子を育てていきたいと、みなさんの話を聞いて、改めて考えることができました。
・「国策に翻弄される地域の生活と教育」
辺野古の人たちは語らなくなったと聞いていましたが、その実情や理由がよく分かりました。子どもたちにまで大きな影響を与えていることを考えると本当に恐ろしい。20年経過してもまだ先が見えない。どうして沖縄がこういう目にあわないといけないのか。国家は国民のためにあるはずなのに、国民不在の国の在り方には本当に腹が立ちます。学ぶ大切さも同感です。
● 閉会集会で、神奈川へのバトンタッチ
閉会集会では、神奈川県の若手の方(父親が沖縄出身で、神奈川で教員をしている)の
神奈川大会への抱負の発言と沖縄の若手からはこの大会で学んだことの発言がありました。
さらに「18歳選挙権実施と歴教協の課題」「育鵬社教科書を用いてた実践報告」などの情勢を反映した発言がありました。
恒例の引き継ぎでは、沖縄から泡盛とともに神奈川へのエールが贈られ、神奈川からは、今大会の「沖縄から安保と民主主義を問う」というテーマを引き継ぎながら、神奈川のテーマ「地域に生きる希望を子どもたちに」に生かすことで、神奈川大会の成功を目指したい、との決意が語られました。
憲法改正の危機の中で、子どもたちを主権者に育てる教育を広げよう
―日本国憲法公布70年に、歴教協からの呼びかけ―