日の丸・君が代に 大月書店 歴史教育者協議会編 定価1100円 はじめに ……… の文から 一九九九年は異常な年でした。「国旗・国歌法」「通信傍受法」「周辺事態法」などが国会を通過し、日本は「戦争ができない国」から「戦争ができる国」へと大きく転換しようとしています。 そのなかで、「国旗・国歌法」は教育界に大きな影響を与えました。法律が制定された後、学校の卒業式・入学式をはじめ、いろいろな形で「国旗・国歌」の「強制」がおこなわれました。しかし、「強制」に抵抗する多様な運動が展開したところに大きな特徴があります。なによりも子どもたち自身が「強制」に疑問をもち、学び、話し合いながら自分たち自身が主人公になる卒業式や入学式を求めるという新しい動きがあらわれたことに注目したいと思います。本書ではそうした「強制」の動きとそれに抗する動きがどう展開されているかをまとめてみました。 「国旗・国歌」の「強制」は日本国憲法で保障された「内心の自由」に対する侵害である事実も明確になってきました。大日本帝国憲法の下で弾圧に抗しながら戦後やっと獲得した「信教の自由」や「思想・良心の自由」などが今また危機に瀕してきたのです。私たちはそれが法的な根拠をもたないばかりか、日本国憲法に違反する攻撃であることを明確につかみたいと思います。本書ではそうした「強制」 に抵抗することの正当性をまとめてみました。 さらに文部省が「国旗・国歌の指導を徹底する」という方針を出していることに関連し、日の丸・君が代を私たちがどう教え、また子ども中心の行事をどう創造したらいいのかを提起しています。 この部分は学校だけでなく、市民の学習にも役立てていただけるものだと思います。 本書をもとに日の丸・君が代にねばり強く立ち向かっていきたいと思います。 歴史教育者協議会
(日の丸-君が代法制化から一年)1、まず中央省庁から 2、次に地方議会へ 3、政治家、知事・町長ら首長、教育長の放言、右翼の脅迫 4、強制に抵抗する市民 5、文部省、そして教育委員会の徹底指導 6、二〇〇〇年春・卒業式 7、入学式とその後の処分 各地のとりくみから ※大阪における高校のとりくみ(大阪府) ※吹田における日の丸・君が代の押しつけと市民運動の広がり(吹田市) ※国立の子どもと教育を守るとりくみ(国立市) ※広がる日の丸掲揚状況と反対運動(宮城県) (日の丸・君が代 問題 Q&A) 1、国旗・国歌法によって、日の丸掲揚・君が代斉唱が義務づけられたのですか? 2、どうして日の丸・君が代が思想信条の問題になるのですか? 3、「内心の自由」とはどういうことでしょうか? 4、「内心の自由」と日の丸・君が代について政府はどういっているのでしょうか? 5、教員への職務命令とは、どのようなことなのでしょうか? 6、子どもの立場から考えると、どのような問題があるのでしょうか? 7、教員や親・保護者の役割とその権利をどう考えればいいのでしょうか? (日の丸・君が代をどう教えるか) 一、小学校でのとりあげ方 1、低学年で 2、中学年で 3、高学年で 二、中学校でのとりあげ方 1、世界地理の中の国旗・国歌 2、世界史の中の国旗・国歌 3、日の丸・君が代と天皇制 公民 4、近代史の中の日の丸・君が代 5、戦後の日の丸・君が代と戦争責任 三、高等学校でのとりあげ方 1、政治経済・現代社会 2、世界史・地理 3、日本史 (学校行事をどう創造するか) 一、小学校で卒業式をどうつくるか 二、中学校で地域とともに学校行事をつくる 1、卒業式三年生を送る会などのとりくみ 2、文化祭・修学旅行などの学校づくり 3、平和学習・憲法学習・人権学習 4、生徒会などの自治意識向上のとりくみ 5、保護者・地域との連帯をどうすすめるか 三、平和を求めて学び、行動する高校生 1、学び、話し合い、日の丸・君が代強制に抗議した高校生 2、全国高校平和集会で日の丸・君が代について論議 3、揺れ動く高校生への励ましを 4、日の丸・君が代の強制に抗する力を育てるために |