Q&A もっと知りたい靖国神社 大月書店 定価(1100+税)円 はじめに そのために、靖国神社のすべてにわたって、できるだけわかりやすく解説したいと考え、靖国神社の歴史から現在までを、四五のテーマにまとめ、一問一答方式で述べてみました。靖国神社のイロハから知りたいとお考えの方にも、ぜひ手にとってお読みいただきたいと思います。 靖国神社には戦争で亡くなった人たちが祀られている、戦争の犠牲者をみんなで尊敬し追悼するのは当然じゃないか、とお考えの方も多いと思います。戦争の犠牲者を追悼し、ふたたび戦争をくりかえさない気持ちをかためようということには、おそらくだれも異論はないでしょう。しかし、靖国神社は、すべての戦争犠牲者を平等に祀っているところで はありません。くわしくは本書で述べていますが、靖国神社にはだれが祀られていて、だれが祀られていないのか、この点を確認することから靖国神社の問題を考えなくてはならないのではないでしょうか。首相の公式参拝という形で靖国神社を国家が公的に支援することにたいして、国内外からさまざまな異論・批判がおこり問題になる、一番の原点がここにあると思われるからです。また、靖国神社に祀られることが名誉だという考えがどんな結果をもたらしたかということを、歴史のなかから考えることも大事です。 さて、首相の靖国神社公式参拝は、一九八五年八月一五日の中曽根首相以来のことです。それ以後昨二〇〇一年までは、首相の公式参拝は行われていませんでした。なぜでしょうか。それは、いま述べたような簡単にはすませられない問題が背後にあって、国内外、とりわけこれからの日本が仲良くしていかなければならないアジア諸国から、強い批判があるからです。その点も本書ではとりあげています。 ではなぜ二〇〇一年に、そういう問題を押しのけてまで小泉首相は靖国神社公式参拝に踏み切ったのでしょうか。その答えは簡単ではありませんが、「戦争への備え」(有事法制)とともに憲法「改正」がいま急いですすめられようとしていることにも関係がありそうに思えます。本書をもとに、そんなことにも考えをめぐちせていただければ幸いです。 二〇〇二年六月 編 者 |