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九州・沖縄ブロック集会報告 九州・沖縄ブロック集会を、「新指導要領と学力テスト体制下での本物の授業づくり」をテーマにして、10月24〜25日鹿児島県霧島市の「いきいき国分交流センター」で開催しました。参加者は福岡・宮崎・沖縄・鹿児島の4県から24名。ここずっと年末(26・27日)に開かれる九州民間教育研究集会(九民研)の前日に九ブロを実施していましたが、今回鹿児島が担当するのをきっかけに、九民研とは切り離して1泊2日の日程で実施することにしました。現在の九ブロ集会のままでは参加者も減り、実践報告や各県歴教協の実態の交流などもままならない状況でしたので、思い切って改善することにしたのです。名称も「九州ブロック」から「九州・沖縄ブロック」に変えました。 1日目は、歴教協事務局長の大野一夫さんによる講演「新指導要領の問題点と社会科の授業づくり」と実践報告3本、その後歴教協運動についての本部の提起と各県の交流、最後に地鶏を焼いての懇親会。 2日目は有馬純一さんのガイドによる姶良地区の戦跡めぐり。 大野さんの講演で印象的なところは次のようなものでした。 @愛国心の押し付けで、「題材」と「教え方」まで踏み込むA「住民への説明責任を果たす」口実のもと、政治が教育に関与する状況 B指導要領で学習内容を規定し学力テストでそれを測定 C末尾が「能力や態度を育てる」が目立ち<心の教育>化。この状況で、求められているのは「未来を豊かで平和な社会を築くための主権者としての知識であり行動する知恵」である。授業づくりの出発点を、教科書に依拠するのではなく子どもに依拠することで、多様な実践は可能。子どもの「?」を授業で解決する学びをもっと重視。授業とは《問題を見つける(子どもの疑問)→事実をつかむ→事実を追究する(比較・関連・疑問)→問題を深める→自分なりの解釈(わかり方)をつかむ→学びあいで深め、さらに疑問を持つ》ことである。 実践報告は @ 東アジアの視点で見る郷土史学習─「万之瀬川の授業」プラン…山元研二(鹿児島) A 「遠賀堀川」再生応援カルタを作った子どもたち─「遠賀堀川」の学習から総合学習遠賀川の学習へ…斉藤勝明(福岡) B いつでもどこでもチョコット平和教育…中川喜久子(福岡) 簡単な討議しかできませんでしたがそれぞれ刺激的な報告でした。 フィールドワークは、あいにくの雨の中を実施しました。最初の国分航空基地の発電所跡には度肝を抜かれました。特攻に行く前に家族と過ごした旅館は、当時そのままに残っていました。ここでどんな会話がなされたのだろうか。溝辺の通信指令壕跡は畑の中に人知れず埋まっていました。地元の人もほとんど知らないのではと思います。鹿児島歴教協は県内の『戦跡ガイドブック』(2010年秋発行)を作る予定です。今回のフィールドワークの内容もそれに載せます。 来年の2010年度は、福岡県の全国大会開催のプレ集会ということで<九州・沖縄は一つ>を合言葉に福岡で開催することに決めました。 (鹿児島県歴教協 大平 政徳) |
近畿ブロック研究集会報告 11月20・21日(金・土)近畿ブロック研究集会を和歌山県にて開催した。第1日目(14時受付開始)は、県立粉河高等学校で公開授業・研究協議を17時までおこなった。公開授業は、「紀の川市から考える工業立地と商店街」というテーマで、私が授業をおこなった。約30名の参加者が見まもる中、産業空洞化のなかで地元企業がどのような工夫・知恵を出し合いながら、生き残りをかけて業務を行っているかを、生徒の討論から考えていこうというものであった。生徒たちは、難しいテーマであったため盛り上がりには欠けたが、班での話し合いを経て討論に臨んでいる姿に一生懸命さが見られた。研究協議では、討論のテーマ設定のまずさや討論参加者が多すぎた点などを指摘され、よりよい授業になるために検討が加えられた。ただ、赴任1年目にして多くの地元企業を調査し、生徒に地元から考えさせていく授業を試みたことについては評価する声が多かった。研究協議を終え、和歌山市内のホテルに移動し、和歌山のうまい魚をあてに懇親会で研究協議の続きが深夜まで続けられた。 第2日目は、9:00よりプラザホープで開催(参加者33名)。午前中は2分科会に分かれ、第1分科会では、「核兵器はなくせるか?」稲次寛(兵庫)、「堺の資料で歴史をたんけん」小松清生(大阪)、「生き物で学級をつくる」三木正喜(和歌山)の3本のレポート、第2分科会では、「現代社会を読み解くための世界史Aの取り組み」大川沙織(京都)、「テレビコマーシャルを読み解く」岡本賢二(奈良)の2本がそれぞれ報告された。 午後からは全体会として、和歌山県歴教協田所顕平会長、本部から坂本昇副委員長がそれぞれ開会挨拶を行い、講演会へと進行していった。講演では、「市民性を育てる授業づくりの試み」として井ノ口貴史氏(大阪歴教協・京都橘大学教員)による講演が行われた。質疑では、「市民性」の市民は何を指すのかや前日の研究授業についても、労働者としての目線の大切さなどについて論議が及んだ。 連日の討議の中で、「地域」をどのように授業に組み込み、どのような切り口で、どのような方法で、さらに主権者としての意識をどのように生徒に付けさせていくか、ということが中心テーマとして話し合われたことは意義深かった。 最後に来年の近ブロ開催県である奈良を代表して石橋さんに閉会の挨拶を頂き、近ブロを締めくくった。 (和歌山県歴教協 横出加津彦) |