歴史地理教育7月増刊号(No1002)‐特集 「アメリカ合衆国建国250年-いまと過去を知る」の読みどころ

By | 2026年7月9日

 2026年は、アメリカ合衆国の建国250年を迎えています。第2次トランプ政権は、歴史の節目にあたる年の1月、ベネズエラに侵攻しN.マドゥロ大統領を米国に連行し、2月末には、イスラエルと共同してイランへの先制攻撃をおこないました。「イラン戦争」の長期化とホルムズ海峡の封鎖は、エネルギー危機を招き、私たちの日常生活から世界経済にいたるまで深刻な影響を与えています。トランプ政権の強権的な外交は、国際連合憲章や国際法を踏みにじり、戦後の国際秩序を支えてきた多国間協調主義を否定し、世界に不安と混乱をもたらしています。同時に、アメリカ国内では社会の分断や経済格差の拡大をもたらしています。いま、アメリカは世界をどこへ導こうとしているのでしょうか。

 かつてオバマ政権を生み出した民主党の路線と、トランプ政権を支える共和党の政策はどのように異なるのでしょうか。なぜアメリカは、「自由と民主主義」を掲げながら、対外的な膨張や干渉を繰り返すのでしょうか。また、なぜ国内では、新自由主義や強者の自由、白人至上主義が重視され、市民的平等が保障されず、人種やエスニシティをめぐる差別が続いているのでしょうか。こうした理想と現実の乖離、そしてアメリカの政治や社会の特徴に、多くの人びとが関心を寄せています。

 そこで本号では、アメリカ合衆国が歩んできた歴史を踏まえながら、現代の政治・経済・外交の実態に迫りました。併せて、アメリカ社会の多様性にも着目し、教育・都市・ジェンダーの問題、マイノリティの存在などを含めて検討することで、現代アメリカ社会の実像と特徴を多面的に捉えようとしました。

 多彩な執筆陣が、それぞれの視点から「アメリカのいまと過去」を描き出しています。第Ⅰ部では現代アメリカの政治・経済・国際関係を考察し、第Ⅱ部では現代アメリカ社会の諸相を探ります。第Ⅲ部ではアメリカの歴史を捉え直し、第Ⅳ部では「アメリカを知るための授業を紡ぐ」をテーマに、小学校・中学校・高校における授業実践を紹介します。

 本号で取り上げた内容を手がかりに、いま私たちに問われるアメリカ認識、そして、世界認識をめぐる「問い」について、子どもたちや職場の同僚などとともに考え、議論を深めるきっかけとしていただければ幸いです。